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空と統帥権 / 天皇と国家

 

日本は明治維新の際、欧米列強からの植民地化を防ぐために、『国家』という統一域を守らなければならなかった

 

士族階級だけでは兵力が足りない

 

身分制を廃止して国民意識をもたせないと徴兵ができず、国民皆兵にできない

 

そのため「日本はひとつ」だという抽象理念、つまり共同幻想を日本人全体に共有させなければならなかった

 

けれども、自然に囲まれた多神教の世界の住人には

 

『国家』という抽象的な統一概念は馴染まない

 

しかし時代として仕方がなかった

 

そしてそのためには

 

統一原理を対外的にも国内にも、眼に見える形で示さなければならない

 

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本来、日本の中心にはパワーもルールも置かれない

 

言語化されないため、中心の主体は実体化されない

 

だから意識化されていない

 

しかし政府は国家の中心に眼に見える形で

ルールとパワーを敷く必要があった

 

結果、歴史的に「象徴」であった天皇に

地上の権力」を与えた

 

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 日本史において中心が視覚化された

 

しかし日本の中心に実体はないが原理は働いている

 

 眼に見えない 『空』の原理を持つ社会に

 

視覚化された『実体』のある原理が重なった

 

『空』と『統帥権

 

中心原理の席がこのふたつと重婚した

 

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そして日本には世間があって、そこに既に中心に向かって同調圧力が働いている

 

 一方で他の国に日本のような強い世間はなく、中心への同調圧力も日本のように強く働かない

 

しかしこの国は、『自粛』という言葉で示せるように統制が元々効いている社会

 

他の国の原理主義は政府やその指導者が

 

中心から周辺に向けて拡散して社会に抑圧をかけていく

 

しかし日本の『空』という原理主義は世間があるために

 

世間が周辺から中心へ収斂させ、寄せながら人を抑圧していく 

 

結果として世間の同調圧力が「統帥権」という中心力へのアクセルとなっていった

 

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『空』の原理主義と同時に

 

戦前の日本は中心から周辺にかけても

 

政府が世間に対して圧をかけていった時代

 

それゆえ日本は昭和期に入ると、強い求心力が中心と周辺の双方向から生まれた

 

結果、極端な原理主義に向かいはじめる

 

それが太平洋戦争において、特攻隊や集団自決、食料の現地調達などの極端な精神主義と現実を無視する結果を生むことになる

 

これは1945年の8月15日の終戦まで続く

 

日本の中心が『空』でなくなった時代

 

つまり 

 

1868年の明治維新から1945年の終戦までの日本というのは

 

歴史上にあった本来の日本ではなかった

 

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明治維新の頃の国政を担った人々は、欧米の植民地政策に対抗するため『国家』を建設し

『国家』をひとつのフィクションとして理解していた

そして、天皇に『統帥権』を与えた

 

しかし昭和期になると

フィクションだったはずの『国家』体制に純粋培養された世代が、国を担うことになる

 

戦前の昭和の軍人は

既にでき上がっていた『国家』の上に育った

そのため彼らは『国家』をフィクションとして認識していなかった

 

軍部は『世間』という現実的な考え方を抑圧し

『国家』への信仰を国民にも強制した

 

そして天皇の『統帥権』を乗っ取った

 

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日本の中心には『空』がある

 

視覚化されていないが

 

そこには既に秩序があり中心原理が働いている

 

だからこの国の中心に、眼に見える形でルールやパワーを重ねて敷くと強い求心力が生まれ、

韓国やアメリカ以上の極端なファンダメンタリズムに陥る危険性を孕んでいる

 

それは現代の日本でも変わらない

 

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